研究助成プログラム

助成研究テーマ

2019年度タカタ財団研究助成

公益財団法人 タカタ財団の2019年度研究助成について、公募の結果下欄の2件の新規研究テーマを選考、決定しました。

(敬称略・申請順)

助成研究テーマ 助成研究代表者 助成区分
1
発達障害傾向のあるドライバーの運転行動特性の解明
研究概要

 自閉症スペクトラム、ADHD(注意欠如多動症)などの発達障害傾向のある人の行動特徴として、こだわり、反応の遅さ、感覚異常、同時並行処理の困難さ(2つのことを同時にできない傾向)、衝動性、多動性、不注意、視野狭窄、ワーキングメモリーの小ささ(すぐに忘れてしまう)等が挙げられている。 これらの特徴は、ドライバーとして車を安全に運転する際に不利に働く要因である。

 発達障害の専門医である鈴木直光氏は「ADHD傾向のある人は方向指示器の出し忘れ、戻し忘れが多く、また急な車線変更を行う傾向がある」と述べている。
実際に発達障害傾向のあるドライバーの事故率が高いという研究結果がいくつか報告されている。

 発達障害傾向のあるドライバーの事故率が一般ドライバーよりも高いことは確かであるが、なぜそうであるのか、どのような場面においてリスクが上昇するのかについての詳細な検討は未だなされていない。

 すなわち、これらの人の有する特徴が、運転場面でどのように発現しているのか、それらに起因する事故を防ぐためにはどのような運転教育を行えばよいのかに関して全く解明されていないのである。
そこで本研究では、こだわりと感覚異常を強く持っている自閉症スペクトラムの中のアスペルガー障害のあるドライバー、衝動性・多動性の傾向の強いADHD衝動型のドライバー、忘れやすく、注意散漫の傾向が強いADHD不注意型のドライバーを対象にして、実際の運転場面を詳細に観察し、運転行動特性を明らかにする。

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筑波大学
准教授 水野 智美
公募(新規)
2
小学生を対象とした交通安全ウォーキングアプリの開発と効果の検証
研究概要

 これまで大久保らは防犯ウォーキングアプリの開発を行ってきた。
このアプリは地域安全マップのコンセプトに基づいて、防犯上の安全箇所と危険箇所の点検をウォーキングしながらおこなうものであり、防犯意識の向上だけでなく、超高齢化社会の中で高齢者の健康増進を目指すものである。

 さらに、子どもを対象として、アプリを活用した安全教育の実践を行ってきた。
こうした取り組みは、様々なマスコミに取り上げられ、その効果についても検証を行ってきている。

 ウォーキングを行う者にとって、ヒヤリハットなどの交通安全の意識をもってウォーキングを行うことは不可欠であり、さらに、ウォーキングを行いながら、交通安全の知識を獲得することは、ウォーキングアプリで目指している景色解読力の獲得につながるため、交通事故ゼロを目指すうえでも必要であるといえる。

 また、ウォーキングアプリにこれまでの防犯教育の視点に加え、交通安全教育の視点を加える本研究は、非常に社会的意義のある研究であるといえる。
こうした本研究の目的は、小学生が使いやすい交通安全ウォーキングアプリを開発し、その効果について検証を行うことである。

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香川大学
准教授 大久保 智生
3
救命救急センターと連携する交通事故自動通報システムによる交通弱者の被害軽減
研究概要

 交通事故による死亡者の約半数を占める交通弱者(歩行者と自転車)の支援が急務である。
特に、田舎の人通りの少ない道では、目撃者がいないために通報が遅れ、亡くなるケースが後を絶たない。

2018年度までの本研究において、次の3つの機能を実現した。
①スマートフォンによる歩行者/自転車の事故検知。
②病院・消防への自動通報。
③ドローン(無人飛行機)の空撮映像による事故現場の確認システム。

「2018年度佐賀大学附属病院災害訓練」では、交通事故を検知したスマートフォンが、事故状況(発生位置/加速度(衝撃)/事故前後の音声/移動手段)を記録し、救命担当医師へと情報提供する訓練を実施した。

「2018年度佐賀市総合防災訓練」では、交通事故や災害を想定した状況を上空からドローンで撮影し、映像をリアルタイムにFacebookで配信し、医学部附属病院の医師や防災訓練参加者などが確認した。

 最終年度である2019年度は、事故の被害状況の推定や、自律ドローンの開発とともに、現アプリに救急搬送時に必要となる個人的医療情報を登録できる機能を追加し、佐賀大学、西九州大学の学生、及びスマートフォンを携帯する高齢者にアプリを普及させる。
またドローン特区の自治体にシステムを紹介し、導入を目指す。

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佐賀大学大学院
准教授 中山 功一
公募(継続)
4
ドライブレコーダによる実事故映像を用いた自転車・歩行者事故発生要因の解明
研究概要

 これまで長年にわたり交通事故分析が行われてきたが、未だ事故発生の要因と防止方法は確立していない。
申請者らは愛知県産業振興課とタクシー協会と連携して、実事故のドライブレコーダの映像データを収集してきた。
このデータベースによって、運転者、自転車、歩行者の事故に至るまでの行動や衝突状況を知ることができる。

 本研究では「実事故とヒヤリハットのドライブレコーダによる映像をもとに、事故要因の解明し、有効な事故防止対策の提案する」ことを目的とする。

 2017年度の分析から、自転車事故は四輪車がゼロ。5G以上の減速度を必要とするエリアに入ることで起き、事故発生要因が主として、運転者の認知の遅れと、自転車乗員の直前飛び出しの2つに分けられることがわかった。

 さらに、PC-Crashを用いた事故再現によって、直前飛び出しについて、理想的な性能の自動ブレーキによって避けられない事故が存在することを示した。

 2018年度は四輪車右左折による自転車事故分析を行い、右折事故の発生には四輪運転者の視線や注意が関連し、自転車乗員の走行路の幅員が大きく影響することがわかった。

2019年度は、
①右左折における自動ブレーキの効果を調べる。
②ドライビングシミュレータによるボランティア実験によって代表的な四輪車対自転車事故(出会い頭、右左折)を再現する。
運転者の視線やブレーキタイミングを実際の事故と比較し、事故発生要因の個人差を明確にする。
③研究の最終年度として、事故映像によって自転車事故発生の要因をまとめる。

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名古屋大学大学院
教授 水野 幸治
5
空間認知特性に着眼した高齢運転者が加害者となる出会い頭事故対策に関する応用的研究
研究概要

 本研究では、超高齢社会においてあり得べき無信号交差点空間について提案するため、2018年度に高齢運転者が加害者となる出会い頭事故が発生する無信号交差点の空間特性を定量的に明らかにするとともに、交差点空間特性からみた高齢運転者が加害者となる出会い頭事故の予測モデルを構築している。

 2019年度は、当該予測モデルより導出された高齢運転者が出合い頭事故の加害者となりやすい空間特性を有する無信号交差点における高齢運転者の空間認知特性について実験室実験を通じて明らかにする。

 これにより、高齢運転者の空間認知特性からみた無信号交差点における対策案の検討を試みる。
具体的には以下の3点を目標に実施する。
(1)高齢者の空間認知特性に関する基礎的知見の把握
(2)交差点空間における高齢運転者の空間認知特性の把握
(3)高齢運転者の空間認知特性からみた無信号交差点における対策案の検討

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(公財)豊田都市交通研究所
主席研究員 三村 泰弘

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