交通安全コラム

交通安全コラム

第245回 地上最高速の争い(79)―三つ巴の争い(7)―

前回は、安全管理が不十分だったコースでの不幸な出来事と次の挑戦の開始を紹介した。
今回は、キャンベルの再度の挑戦と宿願成就の模様と、彼の記録防衛の戦略を紹介する。

◆暴れるハンドル
 彼が再び挑戦した翌日の1924年9月25日は、天候が彼の敵になった。ブルーバードに乗り込む時、強い風で飛ばされた雨が、彼の顔を叩いた。車輪が、砂の柔らかい部分を通る度に空転し、クルマは激しく前後に振動し、暴れるハンドルをしっかり握り締めている彼の身体は翻弄された。クルマの両側には飛沫が高く舞いあがり、濡れた砂が彼のゴッグルを激しく叩いた。 

◆宿願成就
しかし、彼の平均速度は、フライング1キロで時速146.16マイルに達し、エルドレッジの公認記録より幾分速かった(図1)。これまで、キャンベルは、公式記録より速く走っても公認を獲得できなかったので、ビーチホテルでの勝利を祝うパーティーの陽気さにもかかわらず、何か新しい予期せぬ障害で公式承認が得られないのではないか、という不安が彼の心に付きまとって離れなかった。
 しかし、今回は、すぐにパリから、彼の記録が公式に新記録として承認された、との連絡が届いて彼の懸念は消散した。

図1

◆目標時速150マイル
キャンベルは、5回目の挑戦で、公式に地上最速の男になるという長年の夢を達成した。挑戦と挫折の繰り返しの後、彼の努力はついに報われた。
 もちろん、彼は喜びに浸ってはいたが、記録をわずか時速0.15マイル高めたに過ぎないきわどい勝利に、一抹の不満があった。さらに、彼は、勝利を獲得した今となっては、その頂点に留まり続けたかった。そのため、彼は、他のライバルたちが記録を高める準備をしているのを知っていたので、当面の目標を時速150マイルとして、それをできるだけ早く到達するという戦略を採ることにした。

◆エジプト王子の挑戦
キャンベルは、他のライバルたちが、彼から記録を奪うべく周到な準備をしていることを知っていた。彼が特に危機感を高めたのは、エジプトの王子が、イタリアのデザイナーに設計を依頼し、金に糸目を付けずに製作していると伝えられる、400馬力に迫る出力のエンジンを搭載し、時速200マイルを目標とする新しい挑戦車 “ジェルモ”号の情報だった(図2)。

図2

今回は、キャンベルの再度の挑戦と宿願成就の模様と、彼の記録防衛の戦略を紹介した。
次回からは、キャンベルによる記録の更新と大物新人の登場と活躍を紹介する。

<前の画面へ戻る

Page Top

SSL GlobalSign Site Seal