交通安全コラム

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第248回 地上最高速の争い(82)―大物新人の登場(3)―

前回は、4Lサンビームと、そのドライバーとなる新人の経歴とエピソードを紹介した。
今回は、彼のチーム内での確固たる地位の獲得と、記録挑戦者への抜擢を報告する。

◆妻の助力
No.2ドライバーのシーグレイブは当然のことで、ピットの前を通るたびに、必ず減速のサインを受け取った。そこでは素直に減速して、トラックの残りの部分で速度を上げた。彼が、ギネスに追いついた時、レースが良く見える丘の上に陣取った彼の妻から、1ラップ先行しているとのサインを受け取った。ピットからは、シーグレイブには減速せよとの指示が出され続けたため、速度を落とさざるを得なかったが、ギネスが彼を追い越すことがないように、注意は怠らなかった。

◆突然のパンク
ところが、最終ラップで運悪くタイヤがバーストした。しかし、シーグレイブはブレーキを使わずに、ハンドル操作だけで巧にクルマの安定を保ち続けた。彼は、ギネスが追い付いてきていることを知っていたので、タイヤ交換でストップしたら、たぶん優勝できないだろうと考え、パンクしたタイヤのままでフィニッシュラインまで走り続けた。

◆確固たる地位を獲得
ギネスは、自分が優勝したと信じて自信満々フィニッシュしたが、すぐに、シーグレイブが終始彼より前に居たことを知るはめになった。以前、先輩ドライバーが、指示に従わない罰としてチームから外されたことを知っていたので、シーグレイブは心配だった。しかし、彼の卓越した運転技量が、レーシングチームにとって大きな価値があることが認められ、彼はチームで確固たる地位を獲得することになった。

◆記録挑戦へ抜擢
シーグレイブは、2Lサンビームを駆って1923年のフランスグランプリで優勝する(図1)。

図1

これは、グランプリレースで、英国車が英国人ドライバーによって獲得した初めての勝利である(図2、3)。

図2
図3

翌年、彼は二つの大きなレースで優勝し、これらの実績から、サンビーム社は、自社の名誉を賭けた世界記録挑戦に、彼をドライバーとして取り立てることを決定する。

◆長いコースを求めて
小排気量車の挑戦には大きな問題があった。4Lサンビームは、短い距離で最大の加速が得られるように可能な限り軽量化されてはいたが、それでも、従来のコースでは計測区間に入る前の走路の長さが不十分である、という問題だった。
シーグレイブは、キャンベルが記録を破ったペンダインより長いコースを英国内で探し、ランカシャーのサウスポートに候補地を見つけた。そこには7マイルの砂浜がある。

今回は、シーグレイブのチーム内での確固たる地位の獲得と、記録挑戦者への抜擢を報告した。
次回は、彼が4Lサンビームの弱点をカバーしながら新記録を達成する経緯をお伝えする。

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