交通安全コラム

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第251回 地上最高速の争い(85)―二日連続の世界記録(2)―

前回は、トーマスのシーグレイブ打倒の熱意と新記録への挑戦をお伝えした。
今回は、トーマスのさらなる新記録への執念の挑戦の経緯をお伝えする。

◆濡れて柔らかい走路
コースは、乾いている部分はわずか1/2マイルしかなく、もしバブズが停止したら、すぐ砂に沈み始めるので、踏み板のような木製のプラットフォームが多数用意されていた。クルマはプラットフォームからスタートしなければならなかった。一団の男たちが、故障の時には四つの車輪がプラットフォームに載るまでクルマを押し続けるように命ぜられ、その練習をさせられた。
自己記録の更新
エンジンの調子が正常ではなかったので、トーマスは、バブズはさらに速く走れる筈だと考えた。そこで翌4月28日水曜日、気化器を再調整して走行した。頻繁にホイールスピンが発生し、白い大きなクルマは、走行中ひどく横すべりした。エンジンは依然としてミスファイヤーしていたが、トーマスは、前日の自己の記録を更新していた。彼は、フライング1マイルの平均を時速170.624マイルに、1キロでは171.02マイルに高め、世界記録を二日続けて破った(図1)(図2)。もしコースが全て乾いていれば、トーマスは更に速く走ったに違いない。

図1
図2

◆間一髪
走行後、トーマスは、前輪のショックアブソーバーのナットが、わずか一山のネジを残すだけで、外れかかっているのを発見し、「もし外れていたら、クルマは飛び上がって、極めて不愉快な結果に終わっただろう。」と語っている。
このトーマスの快挙に対し、ライバルのキャンベルはジャーナリストへの書簡で、「大差で記録を破ったことは、最大の賞賛に値する。」と述べている。

◆ライバルの危機感
トーマスがペンダインで高めた記録の速度幅が、時速20マイルと非常に大きかったことで、ライバルのキャンベルとシーグレイブは大きな危機感を抱いた。さらに、トーマスが、バブズはもっと速く走れると考えて、記録をさらに高める準備をするため、ブルックランズのワークショップへ帰っことを知って、二人の心は大きく動揺した。

◆24時間体制
 キャンベルが製作を依頼しているネーピア-キャンベルは、設計の目標速度が時速180マイルであるため、トーマスの達成速度、時速169.30マイルと大幅な差はない。そのため、キャンベルは、トーマスが時速180マイルを破る前に、この新しいクルマで、トーマスの鼻を明かせるように、作業場を彼の自宅の裏に移し、24時間体制でネーピア-キャンベルを組み立てることにした。

今回は、トーマスのシーグレイブ打倒の熱意での二日連続の新記録の達成をお伝えした。
次回は、キャンベルとシーグレイブのトーマスの記録更新阻止のための企てをお伝えする。

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