交通安全コラム

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第259回 地上最高速の争い(93)―時速200マイル突破(4)―

前回は、斜め追い風に助けられる復路での走行による記録達成と彼の感想をお伝えした。
今回は、シーグレイブの時速200マイルを突破した快挙の意義、それを実現した技術的配慮を解説する

◆エッフェル塔をひとっ飛び
当時の雑誌には、「時速200マイルという速度は、クルマがジャンプ台からとび上がれば、50フィート(15m)の余裕を持って、エッフェル塔を飛び越すことができる(図)。タイヤは毎秒60回転し、トレッドゴムに加わる遠心力は1g当たり2kg以上にもなり、剝がれれば800mも飛んで行く」との解説記事が掲載された。

図1

◆マイルストーン通過
この時速200マイルを超える未知の領域に踏み込む大胆な飛躍は、三つの理由で世界中の人々の想像力を虜にした。第一には、初めて200というキリのいい数値を越したこと、次に、そんな高速走行は不可能だと言った専門家の間違いが明らかになったこと、第三に、最初の試みで、時速28.91マイルを超える驚くべき上昇幅を達成したことである。世界の速度記録の歴史に輝くマイルストーンの通過が行われた。

◆エンジン回転を増速
この成果は、ドライバーの努力もさることながら、設計上の工夫と行き届いた準備に因るところが大きい。その一つは、二つのエンジンの強力な回転力を伝達する駆動系の負担を減らし、重量増加を抑えるため、エンジンの回転数を一旦2.5倍に増速して、回転力を1/2.5に減らしてからクラッチ、変速機、ドライブシャフトを経由し、最後に大きく減速する、という常識にとらわれない設計が行われている。

◆徹底した空力対策
さらに、模型風洞実験では、最初のモデルで、時速240マイル到達が可能な低い空気抵抗値が得られたが、横風安定性が悪く、揚力が大きいことが確認されると、安定性を重視して時速215マイルの形状で妥協している。エンジンの外形に突出部分があるため、従来のエンジンカバーでは全面投影面積が大きくなるので、ボデーまでのフルカバーとした。方向安定性改善のため尾翼のテストもした。しかし、抵抗の増加が大きいため、ボデー形状の工夫で対策している。

今回は、シーグレイブの時速200マイルを突破した快挙の意義、それを実現した技術的配慮を解説した。
次回からは、この記録達成が刺激となって始まる、米国と英国の記録争いの経過を紹介していく。

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