交通安全コラム

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第261回 地上最高速の争い(95)―英米のバトルの幕開け(2)―

前回は、栄冠を取り返すための、マルコム・キャンベルの新ブルーバードを紹介した。
今回は、米国のデイトナ海岸での新ブルーバードの最初の走行の模様をお伝えする。

◆鋭い視線
キャンベルは、このクルマをこれまで高速でテストしたことがなかったので、問題点がすべてアメリカの大観衆に目撃されてしまうと考えると、大きなプレッシャーを感じた。英国からの訪問者として、敬意をもって先に走る機会が与えられた時、彼は、アメリカ人ライバルのロックハートとキーチの、彼らが打ち負かなければならない相手をしっかり見据える鋭い視線を浴びて極度の緊張を強いられた。

◆大きなダメージ
強風の後、わずかに収まったと感じて決行した最初の走行で、時速180マイルでブルーバードは一連の大きな突起に乗り上げ、横っ跳びに空中に舞い上がった。ショックでプロペラシャフトがシートに当たり、キャンベルは空中に蹴り上げられた。着地した際にはアンダーパンが砂ではぎ取られ、折れ曲がって後車軸の下に挟まり、ショックアブソーバーは破損した。再び走行を可能にするためには長時間の突貫作業が必要だった。

◆シートベルトなし
1928年2月15日の曇って寒い朝、キャンベルがホテルを出た時には強風が吹いていた。多数の群衆が砂丘から彼を見ていた。非常に強い風のために、砂浜の連続した凹凸の数がこれまで以上に増えていた。タイヤを守るために貝殻は砂浜から取り除かれていたが、砂の畝はそのまま残っていた。コースの北端からスタートする時、それまで同様、キャンベルはシートベルトで身体を拘束することはしてはいなかった。

◆コントロール不能
ブルーバードは、排気管から炎を出しながら、砂丘と大西洋の間を加速していった。クルマは気まぐれに左右に大きく向きを変える傾向があり、その蛇行をしっかり押さえないと大きくなって事故になってしまう、とキャンベルは緊張した。最後の電気式計時ワイヤーを通過した後、クルマは柔らかい砂地に遭遇した。途端に彼はシートから投げ出されて、足がスロットルから外れてしまい、即座にコントロールを失った。

◆大惨事か!
スロットル全開からの突然の前閉は、いかなる場合でも、高速ではクルマを不安定にするには十分である。その瞬間、ブルーバードは砂丘に向かってスキッドを始めた(図)。それは大惨事を意味した。キャンベルはもはやスキッドしているクルマのコントロールができず、クルマはほとんど真横になって、横加速度が途方もない力で彼をコックピットに押し付けた。

図1

今回は、米国のデイトナ海岸での新ブルーバードの最初の走行の模様をお伝えした。
次回は、キャンベルの九死に一生を得た走行による新記録達成の経過を報告する。

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