交通安全コラム

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第322回 地上最高速の争い(156)ジェット駆動車の壮絶な戦い(3)

前回は、ウイングフット・エクスプレスでのグリーンの記録達成の経過をお伝えした。
今回は、続くウォルトの弟アートのグリーン・モンスターの登場とその挑戦の経過をお伝えする。

◆グリーン・モンスターの登場
兄の成功の3日後の10月5日月曜日に、38歳の弟アート・アルフォンズが、ハスラー爆撃機に使われたものと同型のGEの17500馬力のJ79ジェットエンジン付きのグリーン・モンスターを引き出した。
このクルマは、まったく粗野な巨大なもので、まさに、車輪に載った可変ジェット排出口であり、主要スポンサーであるファイヤーストンのタイヤを付けた車輪は、ウイングフット・エクスプレスのものより小さかった。名前と異なり、塗色は緑ではなく、赤、白、青だった。

◆野獣のようなクルマ
速度記録車は、極めて優れたエンジニアリングで製作され、飛びぬけて高額であるという通念を、アートの洗練されていないこのグリーン・モンスターはナンセンスにした。
経費は、車輪駆動の最高記録を達成した英国製のブルーバードは100万ポンドに近かったが、アートは6000ポンドほどしか支出しなかった。しかし、エンジン出力はほぼ2倍で、計り知れない潜在力を秘めていた(図)。

スライド1

◆4段のアフターバーナー
航空機のJ79エンジンの推力7000ポンドは、4段のアフターバーナーで作られる。グリーン・モンスターでも、推力発生には4段が同時に使われる。パイロットは、2~3段では、ほとんど効果は現れず、最後の4段まで使うと本当の効果が出ると語っている。アートは、ほんの数秒だけ第1段を使ってみたことはあったが、4段までは使ったことがなく、アフターバーナーによる加速は少し過激すぎると語っていた。

◆誤ってバーナー点火
走行の度毎にスロットルのストッパー位置を調整するが、アートは、間違えて少し先にセットしてしまった。そのため、クルマが計測区間に入る直前にスロットルを踏み増すと、バーナーが点火してしまった。瞬間に前方に跳ね飛ばされた感じで、クルマの前部が持ち上がって、ウイングの後端が下がって大きな迎角が付いてしまった。

◆アフターバーナー使用
とっさに、アートはバーナーが消えるまでペダルを戻し、事なきを得た。数秒後、スロットルを踏んだところ、ふたたびバーナーが点火してしまい、これが繰り返された。この経験で、アフターバーナーの扱いに自信を得たため、次の走行では、クルマが計測区間に入る前に、故意にバーナーを点火してすぐ戻すことにした。

今回は、ウォルト・アルフォンズに続く弟のアートのグリーン・モンスターの登場とその挑戦の経過をお伝えした。
次回は、弟アートの記録達成までの経過と、続く挑戦者のクルマについてお伝えする。

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