交通安全コラム
第324回 地上最高速の争い(158)記録ラッシュ―クレイグ・ブリードラブのリベンジ(2)
- Date:
- 2025/03/01
- Author:
- 佐野彰一(元東京電機大学教授)
前回は、アート・アルフォンズの成功と、クレイグ・ブリードラブのクルマを紹介した。
今回は、ブリードラブの記録更新と往路での時速500マイル突破の経過を報告する。
◆鋭い加速
今回は、前回の経験から、ブレーキ系を改修して油圧を上げていたので、ジェットエンジンを走行開始時の回転数まで高めても、クルマを動かずに止めておけるようになり、鋭い加速が可能となった。ブレーキを緩めると、スピリット・オブ・アメリカは、10マイル強のコースを5マイル先の計測区間に向かって加速し、計測区間を今までにない速度で通過した。
◆新記録達成
計測区間の終わりで、ブリードラブはドラグシュートを展開し、足ブレーキが使える速度までクルマを減速した。記録は時速442.59マイルだった。復路のため、特殊なタービン燃料を補給している間、ブリードラブはスロットルのセッティングをわずかに調整した。折り返しのタイムは、より速い時速498.13マイルで、1マイル区間のこの往復の平均は時速468.72マイルの新記録だった(図1)。

◆時速500マイルは可能
ブリードラブは再び地上最速の人となった。しかし、彼もクルーも、これで満足はしなかった。「記録が出たのはクルマの性能が良いからだ。それはわかっていた。クルマは素晴らしい走りをした。私はコースの荒れたところを避けるだけだった。このクルマでは時速500マイルで走ることができると思う。それをやるために、私はここに留まるつもりだ。」と彼は語った。
◆設計最高速
この記録走行では、ブリードラブは95%スロットルで走っており、これまでスピリット・オブ・アメリカではフルスロットルを使ったことがなかった。このクルマの設計最高速の最も確からしい値は時速565マイルだった。残るスロットル開度に対する出力の増加を考えると、今回の時速498マイルによって、この設計速度に関する見通しは、ほぼ確かだと考えられる。
◆時速500マイル突破
ブリードラブは、記録再更新のため時速500マイルを超える走行を行うことを表明した(図2)。10月15日木曜日8時11分、彼はコース南端からスタートした。加速はこれまでにない激しいものだった。クルマは無事にコース北の最後の標識の10マイルを過ぎて止まった。速度は1マイル区間で時速513マイル、1キロ区間で時速519マイルだった。これは車輪走行での初めての時速500マイル超えの正式な記録だった。

今回は、アート・アルフォンズチームの成功に続いて登場した、ブリードラブの記録更新と往路での時速500マイル突破の経過を報告した。
次回は、このブリードラブの復路の走行の劇的な結末と、アート・アルフォンズの反撃とをお伝えする。
