交通安全コラム

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第327回 地上最高速の争い(161)続く記録ラッシュ―時速600マイルへ(1)―

前回は、アルフォンズの記録奪還と、ブリードラブの新しいクルマでの復讐をお伝えした。
今回は、アルフォンズのブリードラブへの反撃と、新発想の車輪駆動車の出現を報告する。

◆アルフォンズの反撃
アルフォンズは、ブリードラブに反撃するため11月7日にグリーン・モンスターを駆ってコースに出た。試験走行なしに、「それでも長すぎた」と後に語っている助走にわずか2マイルを使っただけで、1マイル区間を時速576.553マイル、1キロ区間を時速572.545マイルで往復した。ライバルが新記録を享受できたのは、たった5日間だけだった。

◆記録の代償
しかし、この記録達成には大きな代償が払わされた。復路、計測区間を出たところで、1964年製の右後輪タイヤが、またしてもパンクした。飛び散ったゴムが右側のパラシュートとその展開電気装置をもぎ取り、コックピットは煙が充満した。クルマは大きくコースを外れ、標識に衝突して車体前部が潰れ、右前輪がもぎ取られた。アルフォンズは、視界確保のためコックピットのガラスを破り、クルマをコースに戻し、二段目のパラシュートを手動で展開し、3.5マイルかけて停止させた(図1)。

スライド1

◆余儀なく撤退
これで、アルフォンズはボンネビルから撤退を余儀なくされた。パンクの原因はエンジンのトルク反力だと考えられた。グリーン・モンスターは、前輪だけがトラックの車軸を使ったサスペンションだったので、彼は後輪にもサスペンションを組み込むことを考えたが、それは大改修だった。もっと速く走りたければ、まったく新しいクルマが必要だった。

◆車輪駆動での挑戦
ジェット推進車による二人の争いの合間に、カリフォルニアからビルとボブのサマーズ兄弟が、前年に樹立したドナルド・キャンベルの車輪駆動クラスの時速403.1マイルを打ち破ろうと参入してきた。彼らは、特殊燃料で608馬力を発揮する量産クライスラーV8-6.9Lエンジンを4台採用していた。

◆4台のエンジンを直列
エンジンは直列で、すべて連結され、二つの4速変速機で前後車輪を駆動する。前輪は独立懸架、後車軸は輪距が狭く、フレームにはエンジンベイが4台別々に造られ、車体の突起は、四つの車輪と4基のエンジンの僅かなもの、車体上面の二つの空気取入れ口など最小限で、2400馬力のクルマとしては、前面面積は歴史的な小ささに収まっている(図2)。

スライド2

◆“ゴールデンロッド”
28歳の弟、ボブは、後車輪の後のドラグスターのような狭いコックピットに座る(図3)。ボンネットは長大であるが、クルマは全長32フィートとコンパクトで、ジョン・コッブの“レイルトン”以降ボンネビルで見られた最も魅力的な記録挑戦車の一つである。車体は金色に塗られ、“ゴールデンロッド”と呼ばれた。

スライド3

今回は、アルフォンズのブリードラブへの反撃と、新発想の車輪駆動車の出現を報告した。
次回は、カリフォルニアからのビル・サマーズの車輪駆動車による新記録樹立を報告する。

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