研究助成プログラム

助成研究者インタビュー

歩きながらヒヤリハットなどの危険箇所について点検することは、交通事故の減少を目指す重要な活動。                  

タカタ財団・2019年度研究助成の対象テーマ
『小学生を対象とした交通安全ウォーキングアプリの開発と効果の検証』
この研究の概容について、大久保智生氏に語っていただきました。

大久保

交通問題として『小学生を対象とした交通安全ウォ-キングアプリの開発と効果の検証』を行うに至った経緯についてご説明ください。

 これまでに問題行動や非行に関する研究を行ってきました。その成果は、著書「青年の学校適応に関する研究:関係論的アプローチによる検討」(ナカニシヤ出版)や数多くの論文にまとめています。10年前からは、香川県警察と連携して、万引き防止を中心に防犯に関する研究を行っています。

 こちらの成果も著書「万引き防止対策に関する調査と社会的実践:社会で取り組む万引き防止」(ナカニシヤ出版)や数多くの論文にまとめています。現在は、こうした研究に加え、地域防犯活動の活性化の研究を行っています。

 具体的には、「地域安全マップ」のコンセプトに基づいて、「防犯ウォーキングアプリ」を開発し、開発したアプリを活用した教育実践を行っています。この犯罪機会論に基づいて、防犯上の安全箇所と危険箇所の点検をウォーキングしながらおこなうものであり、防犯意識の向上だけでなく、様々な世代での利用も視野に入れ、超高齢化社会の中で高齢者の健康増進も目指すものです。

 防犯ウォーキングアプリの開発を行う中で、これを交通安全教育にも応用できるのではないかと思い、今回の研究を着想しました。今回は小学生を対象として交通安全マップの作成が可能なウォーキングアプリを開発し、その実践の効果について検証しますが、小学生と高齢者とが一緒に交通安全マップを作成する実践なども将来的には考えております。

 今回、開発する交通安全ウォーキングアプリは、ウォーキングを行いながら、ヒヤリハットなどの危険箇所について点検してもらうことをねらいとしています。
ウォーキングを行いながら、ヒヤリハットなどの危険箇所について点検することは、交通事故の減少を目指すうえでも重要な活動といえます。

本研究についての進捗状況をお教え下さい。

 現在までに、ヒヤリハットの箇所を探し、小学生の交通安全教育を行うウォーキングアプリの開発を行ってきました。これまでに防犯上の安全箇所と危険箇所や消費カロリー、距離などが表示される防犯ウォーキングアプリを開発していることから、交通安全ウォーキングアプリでもヒヤリハットの箇所、消費カロリー、距離が表示されるようにしています。さらに、ヒヤリハットの箇所、消費カロリー、距離のランキングなども表示される機能も追加しました。
 
 11月には交通安全意識を測定する尺度がなかったので、予備調査を行い、新たに尺度を作成しました。小学生と大学生あわせて500名以上を対象に調査を行い、交通安全意識尺度の信頼性、妥当性について検証しています。

 12月には小学生を対象とした交通安全ウォーキングアプリを活用した交通安全教育の授業の実践を行いました。交通安全に関する授業を行い、その後、タブレットを小学生のグループに貸与し、グループごとに大学生とウォーキングを行ってもらい、ウォーキング終了後に、各グループごとに見つけてきた危険箇所について発表してもらいました。

 こうした一連の教育実践により交通安全意識が向上するのかについて検証します。また、ここでは、ヒヤリハットによる危険箇所の点検とキーワードに基づく危険箇所の点検とでどちらが交通安全意識が向上するのかについて比較も行います。これから分析を行い、結果を発表しますが、楽しみにしていてください。
 
これまで同様の研究は存在しましたか。

 「交通安全マップ」を作成し、これとウォーキングを組み合わせ、アプリを開発している研究は私の知るかぎり存在していないと思います。ただ、もし私たちよりも早く行っている方がいましたら教えてください。実は、最近、私と香川県警が全国に先がけて行った万引きの声掛けの実証実験よりも、1年以上後に実証実験を行ったグループが日本初と大々的に宣伝していたということがありました。今回、私の調査不足ということもあるかもしれません。私の調査不足で間違っていましたら、すぐに前言は撤回いたします。

 話がそれましたが、現在、学校現場でのICTの活用が叫ばれています。本研究はこうした学校現場でのICTの活用の推進に一役買うことも期待できます。学校現場でICTを用いればよいという風潮はどうかと思いますが、即時性や情報の共有などのICTの強みを生かした教育の可能性も考えていく上でも、重要な研究となるのではないかと思います。

本研究の成果は、社会でどのように役立てられ、活用されていくことが期待されますか。
或いは、今後どのような形で社会に寄与していくべきとお考えでしょうか?
イメージをお聞かせください。

 ウォーキングをする人がアプリを活用して交通安全も含めた’’まち’’の安全安心に関わっていく本研究は、交通事故の減少だけでなく、交通安全意識の向上、さらに安全安心な’’まち’’づくりにつながるものであり、大きな社会的な意義があると思います。小学生であってもアプリを用いて自然に交通安全について学べるという点で子どもの交通事故の減少に寄与できるのではないかと思って負います。加えて、ICTを媒介として、世代間交流を行いながら、楽しく歩くことで危険察知能力や安全意識を高める活動も視野に入れて開発を行っています。

 今回、「交通安全ウォーキングアプリ」の開発を行いましたが、今後はこれまでに開発してきた「防犯ウォーキングアプリ」と合わせて、安全安心な’’まち’’づくりに寄与できる「安全ウォーキングアプリ」として統合していけたらと思います。例えば、今日は防犯、明日は交通安全というように、社会に貢献しながらウォーキングを行えるようにアプリを活用していってもらえればと思います。また、ランキング機能もさらに改良し、アプリ上で交流できるような新機能を追加することで、さらに楽しく歩きながら安全について学んでいっていただければと思っています。

2019年度タカタ財団助成研究 

『小学生を対象とした交通安全ウォーキングアプリの開発と効果の検証』概要

研究代表者
香川大学 准教授
大久保智生

 これまで大久保らは「防犯ウォーキングアプリ」の開発を行ってきた。このアプリは「地域安全マップ」のコンセプトに基づいて、防犯上の安全箇所と危険箇所の点検をウォーキングしながらおこなうものであり、防犯意識の向上だけでなく、超高齢化社会の中で高齢者の健康増進を目指すものである。

 さらに、子どもを対象として、アプリを活用した安全教育の実践を行ってきた。こうした取り組みは、様々なマスコミに取り上げられ、その効果についても検証を行ってきている。

 ウォーキングを行う者にとって、ヒヤリハットなどの交通安全の意識をもってウォーキングを行うことは不可欠であり、さらに、ウォーキングを行いながら、交通安全の知識を獲得することは、ウォーキングアプリで目指している景色解読力の獲得につながるため、交通事故ゼロを目指すうえでも必要であるといえる。

 また、ウォーキングアプリにこれまでの防犯教育の視点に加え、交通安全教育の視点を加える本研究は、非常に社会的意義のある研究であるといえる。
こうした本研究の目的は、小学生が使いやすい「交通安全ウォーキングアプリ」を開発し、その効果について検証を行うことである。

 

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