研究助成プログラム

助成研究者インタビュー・自己紹介

研究テーマ「認知症が疑われる高齢ドライバーを対象にしたリハビリテーション介入による免許継続・返納の判定基準構築」

はじめに、自己紹介をさせていただきます。私は大阪出身で、大阪大学医学部を卒業後、脳神経外科学を専攻しました。縁あって高知医科大学に赴任してから、日本独自の予防医学である脳ドックに関心を持つようになり、2008年以降高知県の健診センターで脳ドック診療に携わるようになりました。

図1

今までに約40000人の健常中高年脳ドック受診者を診察しましたが、脳MRI画像には個人差が大きい、特に高齢者では甚だしいと認識しました。脳の個人差とは、脳萎縮と白質病変です。脳萎縮は加齢と共に進行しますが、アルツハイマー病では海馬や頭頂葉を中心とした脳萎縮が特徴であります。白質病変は脳の毛細血管が動脈硬化などの変性を経てゴースト血管化した脳虚血組織のことで、加齢脳現象の一つとして見なされMRI検査では高信号域として診断されます。これらは共に、生活習慣の乱れ(飲酒・喫煙)や生活習慣病(高血圧・糖尿病・高脂血症など)と関連します。そして、脳変化による交通事起因説という仮説を立てて(図参照)、脳変化と運転行動との関係を高知工科大学で探求しています。昨今は、高齢者の悲惨な事故や危険運転が大きな社会問題にもなっていますが、 その問題解決の大きな障壁の一つが脳の個人差であると考えて、MRIによる脳変化の数値化を基に、高齢ドライバーを対象にしたオーダーメイド型事故防止対策を研究しています。この研究活動の一環として、高齢者講習で認知症の恐れがあると判定された高齢ドライバー(MCIドライバー)に、認知リハビリテ-ションを課して認知・身体機能の改善から安全運転能力の維持・向上を目指す自動車運転外来を、2017年から高知県の中核総合病院である愛宕病院の理学士・作業士の先生方と一緒になって施行しています。自動車運転外来では、ドライビングシミレータ(DS)を用いて運転行動を評価して、安全運転指導に組み入れています。昨年からは、ドライブレコーダ(DR)を用いて実車での運転行動も評価しています。本研究では、高齢者のMCI(mild cognitive impairment; 軽度認知障害)ドライバーを対象に、DRやDSによる運転行動評価と自動車運転外来での検査データ(特にMRIによる脳萎縮と白質病変の定量値)との関係を探索します。

「運転は脳が司る、だから脳を調べる」という研究ストラテジーのもと、直接高齢者の脳変化をMRIで定量評価し、生活習慣指導や生活習慣病の病態管理を基に個人対応型高齢ドライバー対策の確立を目指します。

図1

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