研究助成プログラム

助成研究者インタビュー・自己紹介

研究テーマ「肘関節周辺外傷後の運転許可のために必要な関節可動域の検討」

はじめに,自己紹介をさせていただきます.
私は2008年に作業療法士免許を取得後,大分県にある川嶌整形外科病院に入職いたしました.作業療法士として6年間急性期病棟で勤務し,2014年より法人内にあるクリニックにおいて主に上肢外傷後のリハビリテーションに携わっております.

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入職当初から臨床のみならず学術活動を積極的に行い,自己研鑽に励む先輩方が多くいた職場環境であったこともあり,ハンドセラピィといわれる手のリハビリテーション分野に興味を持ち学会発表や論文執筆を行ってきました.整形外科領域の中でも腕や手・指を専門的に治療する分野を手外科といい,近年術式や手術に用いられる機材の進歩により術後翌日から患部を動かす早期運動療法がリハビリテーションの主流となってきました.そのため,我々療法士に求められる技術や責任も大きくなってきておりEvidence-basedな実践が要求されていると感じています.医学に比べて作業療法分野ではエビデンスへの関心が低く,療法士の経験や感覚的なアプローチに頼る傾向があります.そういった事からもこれまで比較的遭遇する機会の多い手首や指の骨折に関して自験例を振り返り介入方法の妥当性や予後の傾向についての臨床研究を重ねてきました.また,スプリント療法といわれる対象者の症状や手の状態に合わせて作製する簡易的な装具の治療効果についての検証も行ってきました.
私が働く大分県北部は高齢化率が30%を超える超高齢社会であり,高齢単身世帯も非常に多い地域です.また,公共交通機関が発達しておらず,急性期基幹病院の機能を有する当院でみると医療圏も県境をまたぎ広範囲とであることから自家用車での移動は必要不可欠な手段的日常生活活動となっています.このような社会インフラに関する問題は日本各地の高齢化や過疎化の進行した地域においても同様であると考えます.このため,臨床現場では自動車運転再開の時期やその見通しを不安に思う声は多く聞かれます.一般的に我々療法士が自動運転再開を直接的に許可することはなく,主治医が臨床経験や理学所見を基に運転再開への助言を行います.しかし,その安全性の判断や,運動再開時期に関する客観的なガイドラインは存在せず,その基礎となるデータも不足しているのが実情です.
今回,助成を受けて進めている研究は,このよう臨床場面で遭遇する問題を背景としたものです.特に肘・前腕は,空間での到達や調整を担う機能を持ち,その機能制限は運転操作に大きな影響を与えることが予測されます.安全性を担保し,適切な時期に運転が再開できるよう支援するためにも,運転再開に必要な肘・前腕関節可動域の基準を明確にすることが必要であると考えます.また,リハビリテーションにおいても治療プログラムの策定や目標設定において非常に有用な情報になるものと考えています.
 最後になりますが,このような機会を与えてくださった公益財団法人タカタ財団様に深謝いたします。

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