研究助成プログラム

研究助成プログラム

2020年度タカタ財団研究助成

公益財団法人 タカタ財団の2020年度研究助成について、公募の結果、下欄の4件の新規研究テーマを選考、決定しました。

(敬称略・申請順)

助成研究テーマ 助成研究代表者 助成区分
1
運転・認知能力を反映する神経心理バッテリー・メーターパネル認識テストの開発
研究概要

 超高齢社会において認知症対策は喫緊の課題である。申請者は2017年度に貴財団の助成を受け、軽度認知障害および早期認知症の患者の運転特性についてドライブシミュレーターで検討した。

 しかしながら、どこの病院にもドライブシミュレーターがあるわけではない上、認知機能が低下した疑いがある人全員に実車テストをするのは困難である。また、現在運転免許試験場で用いられている検査は、記憶障害の有無に焦点が当てられており、そのほかの運転に必要な機能を網羅的に反映している訳ではない。

 そこで、ドライブシミュレーターで測定できるさまざまな運転技能のドメインと、一般的に用いられている専門的な神経心理検査の相関を見ることで、通常の病院の外来で簡便に行うことができる神経心理バッテリーを開発する。同時に、運転技能のみならず、メーターパネルの数字や計器の認識能力を調べるタブレット式検査機器を開発する。この結果が、認知機能が低下した患者の運転技能・認知能力を包括的に測定する機器の開発につながることが期待される。

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京都大学 大学院
教授 木下 彩栄
公募(新規)
2
長期観測運転データを用いた運転行動階層モデルに基づく高齢運転者の危険運転行動発生メカニズムの分析
研究概要

 交通事故死者数の更なる減少のために高齢運転者による交通事故の削減が求められており、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置等を搭載した安全運転サポート車両の導入も進んでいる。しかしながら、運転者は車両が安全になった分だけ自己の利益を求めて危険性の高い運転をする結果、事故が発生する確率は一定に保たれるとするリスク・ホメオスタシス理論に従えば、車両の安全性を高めるだけでは交通事故削減につながらない。

 その上、高齢者は加齢による身体機能の変化により、認知・判断・操作の運転能力が低下する特性が見られるが、高齢者自身は自らの身体能力の変化を十分に把握していないケースが多く、過信行動を取る危険が潜在している。

 ケスキネンの運転行動の階層モデルによれば、最上階の安全態度が一つ下の階の運転計画に必要な能力を決めており、更に下の階層の適切な状況認識・操作技術を求める危険状況に出会う確率を左右する。そのため、高齢運転者の交通事故削減のためには、危険に身をさらさないよう、高齢運転者の安全に対する態度と運転計画の関連性を把握し、それらが交通事故リスクに及ぼす影響を明らかにする必要がある。

 本研究では,ケスキネンの運転行動の階層モデルに基づき、高齢運転者の安全態度と運転計画の二階層間の関係を分析することで、高齢運転者の危険運転行動の発生メカニズムを明らかにすることを目的とする。それにより、高齢運転者の交通事故削減に資する知見を得ることを目指す。

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名古屋大学
教授 山本 俊行
3
認知症が疑われる高齢ドライバーを対象にしたリハビリテーション介入による免許継続・返納の判定基準構築
研究概要

 高齢ドライバーが引き起こす痛ましい交通事故が相次ぐなか、運転免許証の自主返納が激増している。近年では免許返納者が年間40万人を越えているが、代替交通機関が乏しい地方部では免許返納自体が難しい事情がある。運転を断念することで高齢者の経済・社会活動が制限され、社会全体の活力を削いでしまう懸念もある。

 申請者は、高齢者の安全運転寿命を延ばす目的で、高知市の地域中核病院である愛宕病院において、2017年10月から認知症が疑われた高齢ドライバーを対象にした「自動車運転外来」を開設した。 全国の先駆けとなるリハビリテーション治療連動型の外来として、NHKや読売新聞をはじめ主要メディアに取り上げられもした。現在まで31名が自動車運転外来を受診し、その中でリハビリテーション(リハ)を施行できた17名では、免許継続者は10名、返納者は5名、停止者は2名であった。

 当外来を2年以上実施継続し一定の評価を受けているが、リハ介入後の免許継続・返納の判定基準には未だ十分ではない。現行では安全運転能力の評価として、卓上型の簡易ドライビングシュミレータ(DS)を導入しているが、DSと実車運転とは大きな差異があると指摘されている。また、高齢者にはDS酔いが甚だしいケースがあり、DS操作自体ができない場合も少なくはない。よって、実車による安全運転能力評価が求められる。高齢ドライバーの自車にドライブレコーダー(DR)を装着して、運転し慣れた地域での自由走行におけるDRデータから安全運転能力を評価し、現実の運転状況に基づく免許継続・返納の判定基準を確立しなければいけない。

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高知工科大学
客員教授 朴 啓彰
4
子どもの視点から見た飛び出し事故対策
研究概要

 歩行者の年齢別の事故発生件数をみると、7歳児の事故が突出して多く発生している。その大半は出会い頭事故(子どもの飛び出し)となっており、この形態の事故を削減することが喫緊の課題となっている

 この年代の子どもの特徴として、大人と視野の広さに大きな違いがあることが知られており、また、向かってくる自動車の速度を認識し行動を判断する能力の低さも明らかとなっている。

 しかし、一般に、注視点についての研究では、アイマークカメラを用いた調査が多く行われているが、これまで、子どもでの適用事例がほとんどなく、交差点進入時に子どもが何を見ているのかについて、インタビューベースの調査はあるものの、客観的に注視点を分析したものはほとんどない。

 本研究では、特に、小学校低学年の児童の交通安全対策において「認知」「判断」「実行」のプロセスの「認知」に着目して対策を検討するとともに、「判断」の能力に大きな個人差が見られる子どもの交通行動のみに期待した対策では不十分であると考え、自動車側の行動の変化も同時に促す交通環境改善による事故防止効果について検討する。

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岡山大学 大学院
准教授 橋本 成仁

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