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助成研究テーマ |
助成研究代表者 |
助成区分 |
1 |
- 長期観測運転データを用いた高齢運転者の加齢に
伴う危険運転行動発生メカニズムの分析 研究概要
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高齢者人口の割合の増加に伴い、高齢運転者(第1当事者,65歳以上)の事故件数は、R2年度全事故数53%に達している。特に、死亡事故においては、75歳以上の高齢運転者の事故件数(※1)が若者の件数を超えトップに立ち、交通事故削減における喫緊の課題となっている。
高齢運転者は加齢による身体機能の変化により、認知・判断・操作の運転能力が低下する特性がみられるが、高齢者自身は自らの身体能力の変化を充分に把握していないケースが多く、過信行動をとる危険が存在している。申請者らは、R2年度本研究の支援を受け(※2)、運転行動階層モデルに基づく高齢運転者の危険運転行動発生メカニズムに関する研究を実施し、高齢運転者の人間特性と安全態度が運転計画への影響を分析した。本研究は、引き続き、これらの安全態度と運転計画が危険運転行動への影響を分析することで、高齢運転者の危険運転行動の抑制を図る。更に加齢に伴う危険運転行動の変化を捉え、個々が安全・安心に運転できる適切な運転年齢の診断と安全運転支援に資する知見を得ることを目指す。
(※1)免許保有者10万人当りの死亡事故件数
(※2)2020年度タカタ財団助成研究論ISSN2185-8950
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名古屋大学
未来材料システム研究所
教授 山本 俊行 |
公募(継続) |
2 |
- 無信号横断歩道法定外路手前に設置する法定外路面標示による速度抑制効果
研究概要
2021年上半期の交通死亡事故の発生状況について、警察庁交通局は以下の通り発表している。
・交通事故死者数は減少傾向であるが、状態別では、自動車乗車中、次いで歩行中が多い
・歩行中死者の事故類型別では、横断中が約7割(横断歩道横断中が2割、歩道外横断中が約5割)
・横断歩道横断中では車両側に横断歩行者妨害等の違反が多い
・児童の死者数は7人で対前年同期比で同数、重症者数は328人で対前年同期比で57人増加
以上から、横断歩道横断中事故、特に児童に関する事故
削減は喫緊の課題であることがわかる。
222021年年4月、信号機のない場所で横断するときは、手を上げるなどして運転者に対し横断する意思を明確に伝えることを規定した国家公安委員会告示が制定されたが、事故の主原因である横断歩行者妨害に対する効果的な対策は見い出せていない。車両等は、横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止しなければならず、この一時停止を容易にするには、横断歩道前での速度抑制が必要である。本研究では、この速度抑制のための普及性のある対策方法の提案・効果検証を目的とする。
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大阪大学大学院
工学研究科
地球総合工学専攻
准教授 飯田 克弘 |
公募(新規) |
3 |
- 肘関節周辺外傷後の運転許可のために必要な関節可動域の検討
研究概要
自動車の運転は、地域での生活において必要不可欠な日常生活動作である。一方、肘関節周辺外傷の受傷後では肘関節の可動域制限が生じるため、運転動作が禁止され、日常生活の遂行に支障をきたすことも多い。患者としては早期の運転許可を主治医に求めるが、主治医は許可することで責任を負うため、運転再開の許可には慎重にならざるを得ない。さらに、運転に必要な運動学的要素として、頸部の回旋可動域は挙げられているが、必要な上肢の運動能力は明らかとなっていない。医療従事者の立場としては、患者の運転動作における安全性を担保したうえで、早期の運転再開許可を付与するためにも、運転再開に必要な上肢の関節運動能力の基準を明確にすることが必要である。
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かわしまクリニック
リハビリテーション科
副主任 岸本 進太郎 |
4 |
- 交通死亡事故における救護義務違反の科学的解析による予防策の考案
研究概要
本研究者は法医学において交通事故死亡者の受傷機転解析、事故発生現場の解析を行っている。交通死亡事故における救護義務違反で被害者の要因として路上での横臥、加害者の要因として飲酒運転、道路環境の要因として見通しの悪さがあげられる。しかし、救護義務違反の要因を科学的に解析した研究は乏しい。救護義務違反の死亡事故では、被害者の多くは歩行者であり、重度の損傷を受けている。加害者である運転者には重い刑罰が科せられている、本研究で救護義務違反の要因が明らかとなり、予防策を講じることが出来れば、被害者の救命、加害者の刑罰の低減に繋がる。救護義務違反の被害者は車両の特定や事故状況を明らかにするために法医解剖が行われている。法医解剖で得られた知見を社会と人々に還元することが法医学の役割であり、社会の安全と人々の健康維持に貢献ができる。
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東京女子医科大学
医学部法医学講座
教授 木林 和彦 |
5 |
- 半側空間無視を呈した脳卒中麻痺者の自動車運転再開支援
研究概要
半側空間無視は右半球損傷後に好発する神経学的症候であり、大脳半球病巣と反対側の刺激に対する反応、応答、注意が阻害される特徴を持つ。病態の特性を勘案すれば自動車運転に大きな困難が伴い、事故等のリスクを孕むことは容易に想像できる。また、たとえ慣れた日常生活において無視症状がほぼ認められなくなっていたとしても、自動車運転ではより高い水準での注意の持続や切り替えが必要となるため、無視症状が顕在化することで事故を引き起こす危険性がある。無視症状が残存している脳卒中者では、不意な視覚刺激に応答する機能が働きにくくなっており、意図的に注意を向けることで代償していることがある。そのような場合、臨床評価において軽微な無視症状が見逃されることがあるため、無視症状を引き起こす脳内メカニズムに準じて精査する必要がある。本研究は、軽微な無視症状を検出できるPCベースの評価方法を実施し、その結果と運転場面の映像視認中の頭部・視線計測による新な評価用自動車運転シミュレーションシステムとの関連性を調査し、その評価システムの妥当性を検証することで、より安全性の高い運転再開支援を行うことを目的とする。
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静岡リハビリテーション病院 理学療法科
主任 田中 幸平 |